
「日本のアートコレクターって どうして数が少ないの?」

「アート市場の日本と海外の 違いについて教えてほしい」
世界の視点からみると約6兆円という市場規模があるアートマーケットですが 日本はそのうちの0.5%ほどしかありません。 日本でアートコレクターと呼べる人は数少なく 芸術家であってもコレクターであっても 日本市場ではなく世界市場の方が活動の幅が広がることは確かです。 そのような背景の中 本記事では日本のアートコレクターはなぜアートを集めるのか。 日本と海外とでは具体的に何が違うのか。 このような疑問について詳しく解説していきたいと思います。
日本におけるアートコレクターの現状【日本と海外の違いについて解説】

『バブル崩壊と共に日本アート市場は衰退していきました』 1980年から1990年にかけて日本はアジアで最も芸術品を輸入している国でした。 世界からみてもアジアは3分の2を占めていて そのうち8割が日本だったというと 昔の日本はいかにアートを集める人が多かったのかがわかると思います。 それはバブルという異常な状態でお金が溢れているから アートだけでなく、いろんなものに投資する事が出来た時代だからこその現象。 しかも個人で所有するというより どちらかというと企業が高額で落札するケースが多かった為 純粋にアートを所有する文化は事態はそこから発展する事はありませんでした。 実際にバブルがはじけると同時に売却する企業も多く そこから日本は冒頭でも説明したように世界から見ても 「アートに投資しない国」として認識されるくらい 市場規模は小さいものとなったのです。
◆日本アート市場が伸びない要因
『教育によって資産への意識の薄さと通貨の安定が原因です』 日本の教育ではお金に関する教育はほとんどありません。 資産を形成するという概念が無いまま大人になる為 貯蓄は出来ても投資が出来ない事が一般化していて 投資=危険という認識の人達ばかりという事も 芸術品を買わない理由の一つの要因となっています。 また、もう一つの理由として日本の通貨が 安定しているという事も裏目に出ています。 アジア諸外国では、自国の通貨への信頼が低い為 リスクを分散する為に芸術品を購入して資産運用する人が多くいます。 自分の国のお金を持っているより アート作品を持っている方が安心という事ですね。 そうした背景も日本アート市場が伸びない理由となっていると思います。
◆数少ない日本のコレクター
『日本はアートを高額で購入すると白い目で見られます』 日本ではアートを買う文化自体が無いので 知らない事、理解できない事=嫌い、恐怖、不信感 このような感情を持つ人がほとんどです。 実際に日本人コレクターというのは数少なく 有名な人で言うと元ZOZOTOWN社長の前澤勇作が 思い浮かぶ人がほとんどかもしれません。 彼がバスキアの作品を123億円で購入した事は有名な話です。 それを日本メディアが報じると 「なんで絵一枚にそんな金額を出せるんだ?」 「どうせ節税対策の為に買ったんだろ?」 と批判的な意見を言う人もたくさんいました。 アートを楽しむ事や投資として購入する事が非日常すぎて 日本では受け入れられないのが今の現実です。
日本の芸術に対する税制について

『日本の税制が変わらないとアートコレクターは増えません』 なぜなら、日本でアートを所有する事は税制上デメリットだらけだからです。 海外ではアート作品を所有したり売買したり、寄付する事によって 税金が大きく控所されるといった税制優遇措置が必ずあります。 また、香港やシンガポールは税率が低い事で有名で 世界中の富裕層が資産が増えても税金を取られない国として 移住する人達が増えています。 日本では価値のある作品を寄付しても税制上まったくメリットが無いだけでなく 先程も述べたようにアートに対する知識が低い為 名声よりも批判の方が先に立ってしまいます。 そうした理由から、日本でアートコレクターをするのではなく 最初から海外でアートをコレクションする人もたくさんいます。 日本でアートを広める為には教育から見直し、税制を変えていかない事には 文化として根付いていく事は難しいでしょう。
別の視点からアートを広める方法については 「日本でアートを広める方法について考察【教育と文化を創ることが課題」 こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてみてください。