日本のアート市場の規模は小さく
コレクターとして絵画を集める人が少なければ
個人として絵を家に飾る人も多くはいません。
なぜ日本人は絵を飾る習慣が無いのか
市場規模が大きくならない環境について詳しく解説していきます。
日本人が絵を買わない理由
![日本人が絵を買わない理由]()
『日本の環境が絵を買わない状況を作っている』
日本の歴史は世界的に見ても独自の文化を築いていて
その習慣によって絵を飾らない国となりました。
先進国として生きる為に困らない生活が出来るのにも関わらず
「アートを楽しむ」ことに価値を感じられない理由は
今から説明するいくつのも原因が重なって
市場的にも小規模になってしまったのではないかと推測できます。
◆飾る場所がない
『日本の家は絵を飾るスペースが極端に少ない』
日本の家は外国に比べると小さく
廊下や部屋の壁など
飾るスペースが極端に少ないと言われています。
また、賃貸などであれば
壁に穴をあける事がNGとされている事も多かったり
一軒家だったとしても、躊躇する人がほとんどだと思います。
ただ、その気になればスペースは作れるのにも関わらず
そもそも「絵を飾りたい」と思わないこと事態が問題であるとも言えます。
それでも「絵を買っても飾る場所が無い問題」は
一つの要因となっている事は間違いないでしょう。
◆日本特有の美の楽しみ方
『美を楽しむ感覚は古くから培われてきたもの』
日本の歴史を振り返ってみると
日本民家の庭園には
鹿威し(ししおどし)があったり、池や盆栽、木々の手入れをして
一つの空間を景色として楽しむ風習がありました。
その景色は窓から見ると
季節によって色が変わる天然の絵画のようでした。
そうした「美」の楽しみ方じたいが
欧米の人達とは違っていたという事も考えられます。
日本人は自然の中に美を感じる遺伝子があって
それが代々受け継がれてきているから
人工的に作られた絵画を飾るという感覚が無いのではないでしょうか。
◆絵を飾るメリットを知らない
『絵を飾る事にメリットを感じない人がたくさんいる』
家にテレビや家具がないと生活ができなかったり
洋服がないと外に出歩く事ができなかったり
生きていく為の必需品は
個性を出して楽しめるメリットを感じられる人がほとんどだと思います。
でも、絵画を飾っても人生の中でプラスにならないと感じている人が多く
絵を飾るメリット事態を知らないのではないでしょうか。
たしかに、ストレス軽減や癒し効果、安眠効果など
絵や色が発する力は実感しにくいもの。
現実主義の日本人はメリットを知っていたとしても
そこにお金をかけようと思う人は少ないのかもしれません。
◆なんとなく敷居が高い
『絵はお金持ちが楽しむものだと思っている』
日本でアートのニュースが流れる時と言えば
数十億円で絵を落札したといった
普通に生活している人にとっては想像もつかないような額の
アート作品が富裕層の間で取引されているイメージ。
アート=富裕層の遊びのように思っている人は多く
部屋に絵を飾る事はなんとなく敷居が高いと感じているのではないかと思われます。
◆日本の文化
『集団行動を徹底された教育が邪魔をしている』
戦後、集団行動を義務付けられた学校教育によって
「みんなが良いと思っているものが良い」
「みんなが持っているから自分も持ちたい」
そんな集団意識が根付いてしまっている為
「絵を飾る人が周りにいないから、絵を飾るのは不自然」
と思ってしまっている人も少なくないと思います。
最近ようやく個人の意思主張が必要であり
完成は人それぞれだという認識ができてきました。
文化や習慣として根付いてしまったものを
少しずつではありますが
欧米の良い部分を取り入れ始めていることも事実です。
個性を求める時代の到来
![個性を求める時代の到来]()
『好き嫌いをはっきり主張できる世の中へと変化』
ファッションや音楽など多様性を求める時代へと移り変わり
「周りが嫌い」と言っていても
「私は好き」という発信を誰でも出来るようになりました。
その大きな要因としてSNSが普及した事で
今まで限られたコミュニティの中で意思主張をしていた環境から
「自分は間違っていないんだ」と思えるコミュニティへと移動できる環境になった事も
個性が発揮できる環境への後押しになっています。
そうした意識の変化はアートの世界では
マイナスよりもプラスに働く事が多くのなるのではないかと考えられます。
感性は人それぞれ、すべてが肯定されなくても良い世の中になれば
絵も飾る事が当たり前になる未来がきてもおかしくはないでしょう。