「絵を描いても全然売れない」「ギャラリーに委託すべきか、SNSで直接売るべきか分からない」。結論から言うと、私自身の実績ベースでは、手取り額はSNS直販の方が多く、ただし安定した売上を作るならギャラリー委託の方が早い、というのが答えです。画家として制作しながら会社経営もしている私が、実際の手数料・期間・件数を全部数字で出して比較します。一般論ではなく、私が自分の作品で経験した数字だけを根拠にしています。
なぜ絵が売れないのか?ギャラリー委託とSNS直販の違いを知る
副業でイラストや絵を売り始めた人がまずつまずくのは、「販売チャネルの選び方」を知らないまま動いてしまうことです。ギャラリー委託とSNS直販は、儲かる仕組みも、必要な労力も、まったく別物です。
ギャラリー委託とは何か
画廊やギャラリーに作品を預け、来場したお客様に販売してもらう仕組みです。売れた金額から手数料が引かれ、残りが作家の取り分になります。
SNS直販とは何か
Instagramやminne、BASEなどを使い、作家自身が価格を決めて直接お客様に販売する仕組みです。中間業者を挟まないぶん、取り分は増えますが、集客も梱包発送もすべて自分でやる必要があります。
ギャラリー委託のリアルな収益構造(手数料・期間・件数)

ギャラリー委託は「プロっぽく見える」ことに引っ張られて選ぶ人が多いのですが、実際の手取りは意外と少ないというのが私の実感です。
手数料の相場と実際に払った金額
私が過去に委託した都内のギャラリーでは、**手数料は売上の40%**でした。5万円の作品が売れても、手取りは3万円です。地方の小規模ギャラリーだと30%程度のところもありますが、都心の集客力があるギャラリーほど手数料は高くなる傾向があります。
展示期間と販売件数の実データ
私の場合は、1週間の企画展に5点出品し、会期中に売れたのは2点でした。会期終了後の追加販売はほぼゼロです。つまり「展示している間しか売れない」という時間的な制約があります。
DM費・搬入出費などの隠れコスト
見落とされがちですが、案内DMの印刷代(1回あたり2万円前後)、搬入出の交通費や梱包資材費も自己負担になるケースがほとんどです。これを差し引くと、実質の手取りはさらに下がります。
SNS直販のリアルな収益構造(フォロワー・単価・労力)
SNS直販は「儲かる」というより「取り分が多い」というのが正確な表現です。ただし、売れるまでの仕込みに時間がかかります。
フォロワー数と販売件数の関係
実際にやってみると、フォロワーが1,000人を超えたあたりから月1〜2件の問い合わせが安定して来るようになりました。フォロワーが300人程度の時期は、月に作品が1点も売れない月もありました。SNSは「フォロワー数×信頼の蓄積」がそのまま販売件数に直結します。
単価設定と手数料の違い
minneやBASEを使う場合の販売手数料は、売上の10%前後が一般的です。ギャラリーの40%と比べると、同じ5万円の作品でも手取りは4.5万円。ギャラリー委託より1.5万円多く残ります。
梱包・発送・集客にかかる時間コスト
一方で、梱包資材の準備、発送作業、SNS投稿の企画・撮影など、すべて自分の時間を使います。私の場合、1点の発送作業(梱包から発送まで)に30分〜1時間かかっており、これを時給換算すると手取りの差は縮まります。
結局どっちが儲かる?筆者の実際の数字で比較

ここまでの数字を、同じ条件(5万円の作品を1点売る場合)で並べてみます。
| 項目 | ギャラリー委託 | SNS直販 |
|---|---|---|
| 手数料率 | 約40% | 約10% |
| 手取り額(5万円の作品) | 3万円 | 4.5万円 |
| 販売までの期間 | 展示期間中のみ(1〜2週間) | 継続的(フォロワー次第) |
| 追加コスト | DM代・搬入出費(1回2〜3万円) | 梱包・発送費(1件500〜1,000円) |
| 必要な作業時間 | 搬入出・在廊(1日単位) | 撮影・投稿・発送(1件30分〜1時間) |
| 信頼構築のスピード | 早い(ギャラリーの看板を借りられる) | 遅い(フォロワーがゼロから) |
この表から分かる通り、金額だけ見ればSNS直販の方が手取りは多いです。ただし、ギャラリー委託は「ギャラリーが持つ信頼と集客力」を借りられるため、フォロワーがまだ少ない初心者ほど、最初の実績作りとしては有効だと私は考えています。
実際、私の場合は最初の2年間はギャラリー委託を中心に実績と価格帯の相場観を作り、そのあとSNS直販の比率を上げていきました。いきなりSNS直販だけに絞ると、集客ゼロからのスタートになり、精神的にも続けるのが難しくなります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 副業でイラストを売るなら、最初はどちらから始めるべき?
作品数が5点未満で実績もない段階なら、まずは小規模なギャラリーの企画展やグループ展に参加することをおすすめします。ギャラリーの集客力を借りて、価格帯の相場観をつかむのが先です。
Q2. SNS直販で全く売れない場合、何が原因?
私の経験では、フォロワー数よりも「投稿の一貫性」が原因になっているケースが多いです。作風がバラバラだと、フォロワーが増えても「この人の絵が欲しい」という購買意欲につながりません。
Q3. ギャラリー委託とSNS直販、両方同時に進めても問題ない?
問題ありません。むしろ私は両方を並行しています。ただし同じ作品を両方に出すと価格の不整合が起きやすいので、出品する作品自体を分けるのがコツです。
Q4. 手数料以外に注意すべきコストは?
ギャラリーの場合はDM代や搬入出費、SNSの場合は梱包資材と発送費が見落とされがちです。売上金額だけでなく、必ず「手取り額」で比較してください。
Q5. 副業として続けるうえで、一番失敗しやすいポイントは?
値付けです。私も最初の年は相場より安く値付けしてしまい、後から値上げするタイミングを逃して苦労しました。最初から適正価格を調べたうえで値付けすることをおすすめします。
まとめ

金額だけ見ればSNS直販の方が手取りは多く残ります。一方でギャラリー委託は、信頼と集客力を借りられる分、初心者が最初の実績を作るスピードが早いというメリットがあります。自分の作品数とフォロワー数の段階に合わせて、両方を組み合わせるのが現実的な答えです。作品づくりと経営判断をどう両立させてきたかについては、「熊内孝之のストーリー」もぜひあわせてご覧ください。

