絵を描く力だけでは、画家として食べていくことはできません。私は現役の画家として活動しながら会社も経営していますが、収入が安定したのは「絵の実力」が上がったときではなく、「絵を描く以外の行動」を変えたときでした。この記事では、副業でイラストを売りたいけれど売れずに悩んでいる方に向けて、私が実際に行った具体的な行動と数字をそのままお伝えします。一般論ではなく、失敗談も含めた実体験です。
絵が売れない理由は「絵の実力」だけではない
絵が売れないとき、多くの人は「もっと上手くならなければ」と考えます。私も画家としてキャリアを始めた最初の2年間はそう思っていました。しかし実際にやってみると、技術より先に変えるべきものがありました。
需要と供給のズレに気づいていない
どれだけ良い絵でも、それを「欲しい人」に届いていなければ売れません。私の場合は、個展に来てくれるのはほぼ知人ばかりで、新規の購入者はゼロという月が半年以上続きました。
「作品」と「商品」を分けて考えていなかった
絵を作品として作ることと、商品として売ることは別の技術です。経営者としての視点を持つまで、この違いに気づいていませんでした。
画家として食べていくために絵以外にやった3つのこと

絵の実力を磨く前に、私は次の3つを変えました。いずれも「絵を描く時間」を削ってでも優先した行動です。
①会社経営で「値付け」と「継続収益」の考え方を学んだ
画家になる前、私は別業種で会社を経営していました。そこで学んだ「単発収入ではなく継続収入を作る」という発想を絵の販売にも応用しました。具体的には、原画の単発販売だけでなく、以下のように収益源を分けました。
| 収益源 | 単価の目安 | 月間の位置づけ |
|---|---|---|
| 原画販売 | 5万円〜80万円 | 不定期・高単価 |
| 複製画・グッズ販売 | 3,000円〜1万5,000円 | 継続収入の柱 |
| 制作依頼(企業・個人) | 10万円〜 | 年数件の安定収入 |
| 講座・ワークショップ | 3,000円〜1万円/回 | 月1〜2回の固定収入 |
原画だけに頼っていた時期の月商は平均12万円前後でしたが、上記のように収益源を4つに分けてからは月商が平均45万円前後まで伸びました。これは絵が急に上手くなったからではなく、収益の設計を変えたからです。
②「信用」を先に売った
いきなり絵を売るのではなく、先に「この人から買いたい」と思ってもらう信用を作ることを優先しました。実際にやってみると、SNSで絵そのものより「制作過程」や「なぜこの絵を描いたか」という背景を発信したときの方が、問い合わせ数が3倍以上に増えました。
③価格を自分で決める練習をした
経営者としての経験がなければ、私はおそらく今でも作品を安売りしていたと思います。原価計算ではなく「相手が払える金額」と「自分が続けられる金額」の両方から価格を決める練習を重ねました。最初は3万円だった作品を、半年かけて8万円まで段階的に引き上げましたが、値上げ後も月の販売点数はほぼ変わりませんでした。
経営者としての視点が絵の販売に与えた変化
「アート」と「ビジネス」は対立するものだと思われがちですが、私の場合はむしろ逆でした。経営者として数字を見る習慣があったからこそ、絵の販売でも感覚ではなく仕組みで考えられるようになりました。
感覚ではなく数字で判断するようになった
「なんとなく売れそう」ではなく、「どの作品が、どの価格帯で、どの経路から売れているか」を毎月記録するようにしました。記録を始めてから、実は一番手をかけていた大作より、制作時間の短い小作品の方が利益率が高いことに気づきました。
「売れない期間」への耐性がついた
経営をしていると、売上がゼロの月があっても事業全体で持ちこたえる考え方が身につきます。画家一本だった時期は、絵が売れない月は精神的にも苦しかったのですが、収益源を分けたことで「今月は講座収入があるから大丈夫」と考えられるようになりました。
副業でイラストを売りたい人が今日からできること

これから副業でイラストを売りたい方には、いきなり絵の実力を上げようとする前に、次の3つを試すことをおすすめします。
- 販売価格を1種類ではなく3段階(低・中・高)で用意する
- SNSで完成品だけでなく制作過程を週1回でも発信する
- 「原画」以外の収益源(グッズ・データ販売・依頼制作)を1つ試す
私の場合、最初にグッズ販売を始めたときの初月の売上はわずか4,200円でした。それでも続けたことで、半年後には月2万円前後の固定収入になりました。小さくても「絵以外の販路」を持つことが、結果的に絵を売る力にもつながります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 絵が全く売れない場合、まず何から始めるべきですか?
絵の実力を上げる前に、販売経路を増やすことから始めてください。原画だけでなく、グッズやデータ販売など単価の低い商品を1つ用意すると、購入のハードルが下がります。
Q2. 副業でイラストを売る場合、経営の知識は必要ですか?
専門的な経営知識は不要ですが、「値付け」「継続収入」「記録をつける」という3つの考え方だけは持っておくと売上の伸び方が変わります。
Q3. SNSのフォロワーが少なくても絵は売れますか?
売れます。私の場合もフォロワーが1,000人に満たない時期から購入は発生していました。フォロワー数より、制作過程や背景を発信して信用を積み重ねることの方が重要です。
Q4. 値上げをすると売れなくなりませんか?
段階的に行えば、極端に売れなくなることは少ないです。私の場合、半年かけて価格を約2.6倍にしましたが、販売点数はほぼ維持できました。
Q5. 絵を描く時間が減ることに抵抗があります。どう考えればいいですか?
短期的には減りますが、収益源が安定すれば結果的に絵に使える時間は増えます。私自身も、収益の柱を分けた後の方が制作に集中できる時間が長くなりました。
まとめ

絵で食べていくために必要なのは、技術だけではなく「絵以外の行動」です。収益源を分けること、信用を先に作ること、数字で判断する習慣を持つことが、私自身の経験から言える最短ルートでした。次は、こうした考え方に至った背景をまとめた私自身のストーリー記事もあわせてご覧ください。

